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CD ALBUM
2015年5月2日、このリマスター盤の発売日と同じ日にBSプレミアムで放送された「名盤ドキュメント シングル・マン」を見た。それを受けてこのリマスター盤を注文したので、まだこのリマスター盤は聴いていません。ですが「名盤ドキュメント」を見て思うことを書いてみます。去年発売されたおなじポリドールレコードの井上陽水「氷の世界-40th Anniversary Special Edition」は、おなじく「名盤ドキュメント」の第一回企画として製作された番組が、未公開シーンも追加した特別編として特典DVDとしてついていたので、このリマスター盤に関してもそういう発売の方法もあるかなと思いました。「氷の世界」と「シングル・マン」は同じ製作陣がほぼ同時期に携わった兄弟アルバムであり、また「帰れない二人」で血が繋がっていますので…。「名盤ドキュメント シングル・マン」を見てとても胸が痛かったのは、アレンジャーである星勝やプロデューサーの多賀英典のやや浮かない表情。当時のRCサクセションはレコード会社や所属事務所に大きな不信感を持っていて、裏切られたという思いがこのアルバムには溢れている。足掛け2年の時間を費やしたニューアルバム「シングル・マン」のサウンドには自分たちの思いをできるだけ反映したかった。だから新人のミキサーを半ば説得する形で、多賀、星の立会いで出来上がったマスターを勝手に破棄して、自分達でミキシングをやり直したという。結果的に完成したのが、我々が現在耳にしている「シングル・マン」だ。紛れも無く「名盤」で、清志郎たちの思いは間違いではなかったとも言える。ただ、星勝のアレンジや多賀英典のプロデュース能力は侮って良いものではない。「氷の世界」で日本初のミリオンを放ったこのコンビも、「シングル・マン」を売り出すために最大限の努力を惜しまなかった。多賀はRCの新たな作品には上質のホーンセクションが必要だと、たまたま来日中のタワーオブザパワーを口説き落としてブッキングし、そしてたった半日でホーンセクションをレコーディングすることに成功。また星勝は、RCのメンバーのアイデアや演奏は尊重しながらも、上質で、且つ緻密なスコアを書き上げ、清志郎たちの作り上げた音楽の世界観を後押ししている。しかし、RCのメンバーは多賀の持ち込んだタワーオブザパワーのサウンドも、星のアレンジも気に入らなかったらしく、かなり執拗に彼らに噛みついたらしい。それは多賀に言わせれば「そこまで言われるのならやらなければ良かった」と思うほどだった。星勝も複雑な思いがあったに違いない。彼らの自負や親心は清志郎たちによって粉々に打ち砕かれただろう。今回の名盤ドキュメントで明らかになった、幻の「甲州街道」のストリングスアレンジ。星、多賀の立ち会ったトラックダウンでは大きくフィーチャーされていたであろうそのサウンドは、メンバーだけによる秘密のトラックダウンでほとんど絞られてしまったようだ。だけど、名盤ドキュメントで聴いたその「失われたストリングス」の繊細で切ない音は、称賛に値する素晴らしい仕事だと感じた。例えRCのメンバーが望んだものとは違っていたとしてもだ。今回、レコード会社の倉庫から発掘されたマスターテープは「甲州街道」「やさしさ」「うわの空」のたった3曲だけだったらしい。できればボーナストラックではその3曲だけでも星&多賀ミックスが聴きたかった。それがRCの望んだ音ではなかったとしても、多賀、星が日本の音楽界に築き上げた業績の大きさを考えれば単純に否定されるべきものではないと思う。代表曲「スローバラード」での星勝やタワーオブザパワーの素晴らしい仕事を聴けばなおさらそう思う。これだけ素晴らしいアルバムを完成させながら、録音に携わった全ての人々が、当時も(そして今も)名盤の完成を祝いあう空気になかったであろうこと。天才でありながらも、まだその素晴らしい才能にほとんどの人が気づいていなかったであろう若き日の清志郎の行き場のない怒りややるせなさ。この名盤のサウンドの向こうにはそんな情景が見え隠れしている。追記:名盤ドキュメント RCサクセション「シングル・マン」は2015年6月28日(日)午前0時15分からNHK BSプレミアムにて再放送されるようです。